Claudeで医療計算ツール・患者説明資料を5分で自作する
「計算機のURLを送って」が自分で作れる
eGFR計算機。CURB-65スコア。Wells Score。これらを使いたいとき、スマホのアプリを探したり、院内システムを確認したりしていないだろうか。
Claudeに頼めば、5分で動くWebアプリが完成する。プログラミングは一切不要だ。
作ったツールはURLで共有できる。院内スタッフ全員がスマホからアクセスできる。
Claude Artifactsとは何か
Claude Artifactsとは、Claudeが会話の中でコード・HTML・Webアプリを「その場で生成して動かす」機能だ。
従来のAIは「コードを書いてくれるが、自分で実行する必要がある」だった。ArtifactsはClaude.ai上でコードを即実行し、結果を目の前に表示する。医師はコードを見る必要すらない。
2026年時点で作れるもの:
- インタラクティブな計算ツール(入力→計算→結果表示)
- 患者説明用のビジュアル資料
- チェックリスト・フォーム
- データの可視化(グラフ・チャート)
- 簡単なWebページ
医療計算ツールを作るプロンプト集
以下のプロンプトをそのままClaude.aiにコピーして使える。
eGFR計算機(CKD-EPI式)
CKD-EPI式でeGFRを計算するWebアプリを作ってください。
入力項目:
- 血清クレアチニン(mg/dL)
- 年齢(歳)
- 性別(男性/女性)
出力:
- eGFR値(小数点1桁)
- CKDステージ分類(G1〜G5)
- ステージに応じたカラーコーディング(G1緑〜G5赤)
- メトホルミンなど主要薬剤の使用可否の簡易表示
デザインはシンプルで、スマートフォンでも使いやすくしてください。
CURB-65スコア(市中肺炎重症度)
CURB-65スコアを計算するインタラクティブなWebツールを作ってください。
5つの項目(各1点):
- Confusion:意識障害あり
- Urea:BUN > 7mmol/L(または19mg/dL以上)
- Respiratory rate:呼吸数≥30回/分
- Blood pressure:収縮期BP<90mmHgまたは拡張期BP≤60mmHg
- Age:65歳以上
出力:
- 合計スコア(0〜5点)
- リスク分類(低・中・高)
- 30日死亡率の目安
- 入院/外来/ICUの推奨
チェックボックス形式で選択するUIにしてください。
Wells Score(肺塞栓症)
肺塞栓症のWells Scoreを計算するWebツールを作ってください。
項目と点数:
- DVTの臨床的徴候・症状:3点
- PE以外の診断が考えにくい:3点
- HR>100回/分:1.5点
- 3日以上の不動・直近4週間以内の手術:1.5点
- 過去のDVT/PE歴:1.5点
- 喀血:1点
- 悪性腫瘍(治療中or6ヶ月以内or緩和ケア):1点
出力:
- 合計スコア
- リスク分類(低・中・高)
- 推奨されるD-dimer/CT-PAの判断基準
- PE可能性の目安(%)
選択しやすいボタン形式のUIで作成してください。
NEWS2スコア(急変リスク評価)
NEWS2(National Early Warning Score 2)を計算するWebアプリを作ってください。
入力パラメータと点数配分:
- 呼吸数(回/分):≤8=3, 9-11=1, 12-20=0, 21-24=2, ≥25=3
- SpO2 Scale1(%):≤91=3, 92-93=2, 94-95=1, ≥96=0
- 酸素投与:あり=2, なし=0
- 収縮期BP(mmHg):≤90=3, 91-100=2, 101-110=1, 111-219=0, ≥220=3
- 心拍数(回/分):≤40=3, 41-50=1, 51-90=0, 91-110=1, 111-130=2, ≥131=3
- 意識レベル:A=0, C/V/P/U=3
- 体温(℃):≤35.0=3, 35.1-36.0=1, 36.1-38.0=0, 38.1-39.0=1, ≥39.1=2
出力:
- 合計NEWS2スコア
- リスク分類(低/中/高)
- 推奨アクション(定期モニタリング/担当医評価/緊急対応)
- 高リスク(7点以上)は赤色で強調表示
スライダーまたは数値入力のUIで作成してください。
Child-Pugh分類(肝機能評価)
Child-Pugh分類スコアを計算するWebツールを作ってください。
5項目と点数:
1. T-Bil(mg/dL):<2=1, 2-3=2, >3=3
2. Alb(g/dL):>3.5=1, 2.8-3.5=2, <2.8=3
3. PT延長(秒)または INR:<4秒/<1.7=1, 4-6秒/1.7-2.3=2, >6秒/>2.3=3
4. 腹水:なし=1, 軽度=2, 中〜大量=3
5. 肝性脳症:なし=1, Grade1-2=2, Grade3-4=3
出力:
- 合計スコア(5〜15点)
- Child-Pugh分類(A: 5-6点, B: 7-9点, C: 10-15点)
- 2年生存率の目安
- 外科的リスクの概要
- 主要薬剤の用量調整必要性の注意書き
ドロップダウンメニュー形式のUIで作成してください。
患者説明資料を作るプロンプト集
薬の説明シート
「メトホルミン」を新たに処方された患者向けの説明シートをHTML形式で作ってください。
含める内容:
- この薬の目的(1〜2行)
- 飲み方(食後・用量)
- 絶対に守ること(造影剤前の休薬等)
- よくある副作用と対処法
- 「すぐに連絡が必要な症状」をわかりやすく強調
- Q&A形式で患者がよく聞く3つの質問
中学生でもわかる言葉を使い、専門用語には必ず説明を追加してください。
読みやすいデザインで、印刷にも対応したレイアウトにしてください。
手術・処置の説明補足シート
「大腸内視鏡検査」を受ける患者向けの事前説明補足シートを作ってください。
含める内容:
- 検査当日の流れ(時系列)
- 前処置(下剤の飲み方)の詳細な手順
- 持参物リスト(チェックボックス付き)
- 検査後の食事・行動制限
- 「こんな症状が出たらすぐ連絡して」のリスト
- よくある不安Q&A(痛い?時間は?仕事は?)
検査への不安が和らぐような親しみやすいデザインにしてください。
病態説明のビジュアル
「慢性腎臓病(CKD)」を患者に視覚的に説明するインタラクティブなページを作ってください。
含める内容:
- 腎機能が低下するとどうなるかの図解(eGFRのステージを視覚的に)
- 「今あなたはここです」と示せる簡単な入力欄(eGFR値を入力)
- ステージ別に「次に起こりうること」「食事で気をつけること」
- 「いつ病院へ連絡すべきか」の明確な基準
医学的に正確でありながら、患者が怖くなりすぎないトーンで作成してください。
作ったツールを共有する方法
Claudeで作成したArtifactは、画面右上の「共有」ボタンからURLを取得できる。
共有の使い方:
- LINEで患者に送る(「このリンクから薬の説明を確認してください」)
- 院内グループチャットにツールのURLを貼る
- QRコードを印刷して診察室に貼る
注意: Claude.aiの共有URLは永続的ではない場合がある。長期使用する場合は、HTMLファイルをダウンロードして院内サーバーに置くか、GithubPagesなどの無料ホスティングを使う。
実際の活用シナリオ
シナリオ1:当直前の10分で準備
「今夜の当直で使いそうな計算ツールを全部作っておく」
当直でよく使う以下の計算ツールを一画面にまとめたWebアプリを作ってください:
1. 体重別の薬剤用量計算(mg/kg)
2. 輸液速度計算(mL/hr)
3. 換算ツール(Fahrenheit→Celsius、lbs→kg)
4. Glasgow Coma Scale
タブ切り替えで各ツールに移動できるUIにしてください。
シナリオ2:カンファレンス発表の補助ツール
「発表する症例のデータをリアルタイムで見せながらプレゼンしたい」
以下の症例データを視覚化するダッシュボードを作ってください:
入院経過(10日間):
Day1: WBC 18200, CRP 24.8, 体温 39.2℃
Day3: WBC 14800, CRP 18.2, 体温 38.5℃
Day7: WBC 9200, CRP 6.4, 体温 37.8℃
Day10: WBC 7400, CRP 1.8, 体温 36.8℃
WBC・CRP・体温を時系列グラフで表示し、抗菌薬投与日・培養結果の日をマーカーで示してください。
シナリオ3:専門医試験の勉強ツール自作
「病態別に問題を解いて自動採点してくれるツールがほしい」
腎臓内科の国試・専門医試験向けの練習問題アプリを作ってください。
問題形式:症例ベースの5択問題
テーマ:CKD・ネフローゼ症候群・急性腎障害の鑑別
5問入れて、回答後に詳細な解説が表示される形式にしてください。
間違えた問題は問題集の最後にもう一度出題してください。
Claude以外のAIでも「ツール自作」はできる?
ChatGPT(GPT-4o)でも同様のコード生成が可能だが、2026年時点でClaude Artifactsが最も使いやすいとされている主な理由:
- 生成されたHTMLが即ブラウザで表示・実行される
- 長い会話でも前の文脈を保持した修正指示が通りやすい
- 日本語UI/説明の品質が高い
- 「少し変えて」という修正指示の理解精度が高い
Gemini(Google)のCoderunnerも同様の機能があり競争が続いている。最終的には「自分が使いやすい方で作る」で問題ない。
限界と注意点
医療計算ツールの精度検証は必須
Claudeが生成した計算式が正しいかどうか、必ず最初の数症例で手計算と照合してほしい。特に:
- 単位の変換(mmol/L ↔ mg/dL等)
- 計算式のカットオフ値
- 点数の加算ロジック
患者情報の入力は禁止
「この患者のデータで計算して」という形でリアルな患者情報をClaudeに送らないこと。個人情報保護法の観点から問題になる。計算ツールを作るプロンプトは患者特定情報を含まない。
法的地位
Claudeが作った計算ツールはあくまで補助的な参考ツール。診断・治療の最終判断は医師が行う。ツールへの依存は避けること。
プログラミングを学ぶ必要はない。必要なのは「こういうツールがあると便利」というアイデアと、それをClaudeに伝える言語化能力だけだ。
あなたの診療科で「あったらいいな」という計算ツール・チェックシートはあるか? まずそれを一つ作ってみてほしい。